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都議会質問記録

2016/03/25 3月25日、学童保育、介護人材、認知症対策について文書質問提出

3月25日、都に対して学童保育所の待機児童対策、介護人材の確保、認知症対策についての質問を文書で提出しました。都議会では時間的制約から全員が毎回質問できないため、質問権の保障のため議場での質問に代わり定例会最終日に文書で質問を提出できる制度があります。この制度を活用し質問を提出しました。答弁は次回定例会の初日になされ、議事録上は議場での質問と同じ扱いになります。

1 子ども・子育て支援について

(1)保育園の待機児童について大きな問題になっていますが、学童クラブについても待機児童の問題が深刻になっています。経済状況から共働きの世帯が増えるなどさまざまな要因があり、子どもの放課後の安全・安心を求め学童への入所希望が増えているとも言われています。「小1の壁」と言われ、3月末まで保育園に預けていたのが、4月になると突然、預けるところがなくなってしまうとの不安を解消することが必要です。国も2015年7月に文部科学省と厚生労働省が連携して「放課後子ども総合プラン」を策定し児童が放課後等を安全・安心に過ごすことができる居場所の整備を進めています。近年、学童クラブへの入所の希望が増え、入所できない方も増えている傾向にあるといいます。まず、都内市区町村における、最近5年間の学童クラブの定員と待機者数の推移について伺います。

回答1:放課後の子供の居場所は、保護者が労働等により昼間家庭にいない子供を対象とした学童クラブと、全ての子供を対象とした放課後子供教室等があります。
 区市町村における学童クラブの運営形態は、放課後子供教室と一体的に又は連携して実施するなど、多様です。
 最近5年間の学童クラブの登録児童数と登録できなかった児童数は次のとおりです。
 平成23年の登録児童数は84,627人、登録できなかった児童数は1,511人、
 平成24年の登録児童数は84,992人、登録できなかった児童数は1,404人、
 平成25年の登録児童数は86,835人、登録できなかった児童数は1,753人、
 平成26年の登録児童数は89,327人、登録できなかった児童数は1,717人、
 平成27年の登録児童数は98,216人、登録できなかった児童数は3,140人です(いずれも5月1日時点)。

(2)国のプランでは2019年度末までに放課後児童クラブを新たに約30万人分整備するとしています。都も東京都長期ビジョンにおいて学童クラブ登録児童数を2014年5月の89,327人から2019年度末までに1万2千人増加するとの目標を設定しました。都は、早急に待機児童の解消を図る必要があると考えます。目標達成に向けた取り組みについて伺います。また、現時点で待機児童がいるのであれば計画を前倒しにして取り組む必要があると考えますが、あわせて見解を伺います。

回答2:東京都長期ビジョンでは、学童クラブの登録児童数を5年間で12,000人増やすことを目標に掲げており、平成26年から平成27年の1年間で、登録児童数は8,889人増加しています。
 平成28年度は、学童クラブを設置する際に必要な土地の借料や受入児童数を増やすための移転費用の支援を開始しており、今後とも、学童クラブの整備に取り組む区市町村を支援していきます。

(3)以前にも増して学童クラブへの要望が強まっているのは、犯罪や交通事故などに子どもたちが巻き込まれることへの不安があるとも言われています。かつては、学校から離れた場所にあったものが、近年では校内に設置されることも増え、国の総合プランでも小学校の余裕教室等の活用が望ましいとされるに至っています。安全面からも予算面からも待機児童解消のために新たに学童クラブの設置を進めるためには学校の活用がなければ実現しません。国の総合プランでは都道府県に教育委員会と福祉部局が構成する推進委員会を設置して促進するよう定められていますが、都はどのような推進体制で取り組んでいるのか伺います。福祉保健局からも教育委員会に積極的にはたらきかけ、学童クラブの設置が円滑に進むようにすべきと考えますが、あわせて見解を伺います。

回答3:都は、「放課後子ども総合プラン」に基づき、都内における放課後対策の総合的な在り方を検討するため、「東京都放課後子供総合プラン推進委員会」を設置しています。
 同委員会は、教育庁、福祉保健局、学童クラブや放課後子供教室の関係者で構成されており、学童クラブと放課後子供教室の円滑な連携等について協議しています。

(4)放課後の子どもの居場所については障がいのある児童については、より深刻とも言われています。障がい児の学童クラブの入所状況について伺います。今後、障がい児の学童クラブへの入所も希望も増えると思われますが対応策についてもあわせて伺います。

回答4:障害児の学童クラブの登録児童数は、平成27年5月1日現在3,374人、登録できなかった児童数は50人です。
 都は、学童クラブにおいて、障害を持った児童の受入を促進していくために、必要な施設の改修や設備の整備、備品の購入等を支援するほか、専門的知識等を有する職員の配置に要する経費を支援しています。
 また、障害児の受入人数にかかわらず1名に限られていた専門的知識を有する職員の配置を、平成27年度から、5人以上の障害児を受け入れる場合には、更に職員を1名追加して配置できるよう支援しています。

2 高齢者施策について

(1)介護福祉従事者の賃金が低く、介護分野の人手不足は深刻さを増し、サービスの休止や事業所の廃止に追い込まれる事例も出てきています。私は、2015年9月の都議会一般質問で介護人材介護職員の処遇改善について質問しましたが、超高齢社会に向けて介護人材の確保は重要な問題のため何点か質問します。
 介護事業者が都から介護職員処遇改善加算を受けるには介護職員処遇改善計画書の提出が必要になります。行政から事業者に加算する場合に、それが実際に働く人に支払われることが重要です。事業者から提出された計画書が確実に履行されるよう、都は監督することが必要ですが、取り組みを伺います。

回答1:介護職員処遇改善加算を取得する事業者は、事業年度ごとに処遇改善に関する実績を都へ報告することが義務付けられています。
 都は、事業者から提出された実績報告書により、事業者が実施した賃金改善の総額が受領した当該加算の総額を上回っていることや、賃金改善の方法などについて確認しています。

(2)介護人材不足の問題は、賃金だけではなく、長時間残業、夜勤、有給休暇の取得が困難であったりと、待遇全般に及ぶとも言われています。残業の適切な管理や正当な残業手当の支給などが当然ながら守られなければなりません。賃金だけではなく、仕事がきついことも人材不足の原因でありますが、労働環境の改善に向けて都は事業者にどのような指導をしているのか伺います。また、介護現場で働く人の声を行政が受け止め、政策に反映される仕組みが必要だと考えますがあわせて見解を伺います。

回答2:都は、指定居宅サービス事業所等を新たに開設する事業者や指定の更新時期を迎える事業者を対象とした研修会の中で、遵守すべき労働関係法令について理解を深める機会を設けるとともに、事業者への指導検査において、就業規則等について労働基準監督署へ必要な届出がされているか等の確認を行っています。
 また、都は、東京都高齢者保健福祉計画等の進行管理を行うため、学識経験者や介護支援専門員、介護サービスの関係団体が参画する東京都高齢者保健福祉施策推進委員会を設置しています。高齢者施策の立案・実施に当たっては、この委員会の意見も踏まえながら進めています。

(3)介護人材不足の深刻さが続くと、介護従事者への経済的支援ともいえます。さらなる支援が必要となります。都は、2016年度予算において「介護職員宿舎借り上げ支援事業」として1億9,800万円を計上しています。介護者の待遇改善に資するものとして評価します。この事業は空き家の利活用をするとのことですが、具体的にはどのように進めていくのか、また、この事業により何人の介護従事者の確保を目指しているのか伺います。
 さらに、介護職員の保険料や税の減免等の特例措置や、介護について学ぶ学生についての奨学金の利子の支給などさまざまな支援策も考えられます。介護従事者の確保のため、こうした施策などの経済的支援への対応について見解を伺います。

回答3:介護職員宿舎借り上げ支援事業は、住宅費負担の軽減等による働きやすい職場環境の確保と、災害時における福祉避難所の運営体制の強化を目的としています。
 この事業では、福祉避難所の指定を受け入れた施設等の運営事業者が施設周辺で空き家等を職員宿舎として借り上げる場合に支援することとしており、平成28年度予算では、212戸分を計上しています。
 また、介護職員を確保するため、介護福祉士等の資格取得を目指す養成施設の学生を対象に修学資金を貸与しており、資格取得後、都内の指定施設等で介護業務等に5年間継続して従事した場合には返還を免除しています。

(4)次に、深刻な問題になっている認知症について伺います。都は、長期ビジョンにおいて2025年度末において認知症高齢者グループホームを2万人分整備するとしています。現在、都内におけるグループホームの定員と待機者数、そして、2025年度に目標数を整備した場合に入所待機の状況をどのように予測しているのか伺います。

回答4:都内の認知症高齢者グループホームの定員は、平成28年4月1日現在、9,896人です。
 平成37年度末までの整備目標は、保険者である区市町村が地域のニーズを踏まえて算定したサービス見込量に基づき設定しています。

(5)高齢者施設の申し込みは保育園と違い、必ずしも行政を通すものだけではないので重複の申し込みや申請中に亡くなる場合もあるなど、実数の把握が難しいとされます。そのことは、一方では施設に空きがあり、一方では施設を探している人がいるというように、ミスマッチがおきていないともいえず、資源の有効活用という点ではうまくマッチングすることが必要です。認知症グループホームは規模も小さく長期入所の方も多いので随時募集しているわけでもなく、また、特別養護老人ホームに比べると一般への認知度も高いとは言えません。入所を希望する方が利用者の状況に合う施設を見つけるため、同時に、施設がより有効に活用されるような取り組みや仕組みが必要と考えますが見解を伺います。

回答5:認知症高齢者グループホームは原則として入居者が施設所在地の区市町村の住民に限定される地域密着型サービスであり、その利用に関する相談等は、区市町村において対応しています。

(6)一昨年8月に目黒区にある東京都若年性認知症総合支援センターを訪問しました。18歳から64歳までに発症する認知症性疾患の方は全国で4万人、そのうち都では4千人と推計しています。高齢者の認知症も深刻ですが、定年退職前の年代で認知症になると収入が途絶え経済的問題も深刻です。また、精神的な衝撃も大きいとも言われています。都は2012年からセンターを開設、若年性認知症支援コーディネーターが電話や来所により相談に対応しています。若年性の認知症の問題は深刻になりつつありますが、市区町村の地域包括支援センターでは、そもそも多くの案件を対応して余裕がないだけではなく、高齢者に比べれば若年性認知症の方は人数が少ないため専門的な対応が十分できないとも言われています。そこで、東京都若年性認知症総合支援センターは市区町村とどのように連携して対応していくのか伺います。また、2016年度予算では多摩地域に2箇所目となる拠点を設置するとのことですが、その内容を伺います。

回答6:若年性認知症総合支援センターでは、地域包括支援センターをはじめとする地域の関係機関と連携しながら、医療や介護、就労の継続などの相談内容に応じたきめ細かい支援を実施しています。
 平成28年5月には、センターのこれまでの相談・支援事例を分析してノウハウを取りまとめた相談対応マニュアルを作成し、区市町村に提供しました。
 また、平成28年度多摩地域に新たに設置するセンターにおいても、これまでのセンターと同様の支援を行うこととしており、今後、公募等の手続を経て、運営事業者を決定する予定です。

 

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