> 都議会質問 > 都議会本会議(文書質問) > 精神疾患・精神障がいに関する施策について文書質問を行ないました

都議会質問記録

【19】2011/12/15 精神疾患・精神障がいに関する施策について文書質問を行ないました

2011年12月議会 文書質問(2011年12月15日)

2011年12月15日、都議会本会議で、文書質問「精神疾患、精神障がいに関する施策について」を知事に提出しました。うつ病や統合失調症などの精神疾患の患者は年々増えているため、10代前半からこころの不調や病気で苦しんでいる若者に対し早期発見・早期支援の取り組みが必要である一方で、社会的入院の長期化により人生の大半を病院で過ごすことになってしまう状況があるため、より一層の施策の必要性を求めて質問を行いました。毎回一般質問ができる市議会と違い都議会では時間等の制約から4年間に数回しかないため、質問機会を保障するため文書での質問を認める制度があり、それを活用したものです。回答は知事の決済を経て次回の議会に文書で回答されますが、議事録上は本会議での質問と同様の扱いがされます。答弁は2012年2月22日に本会議に提出されました。質問と答弁は以下の通りです。

精神疾患、精神障がいに関する施策について

 今年2011年7月、厚生労働省は、がん、脳卒中、心臓疾患、糖尿病の「4大疾病」に新たに精神疾患を加えて「5大疾病」とする方針を決めました。昨今の経済的な不安定や社会情勢によって、うつ病や統合失調症などの精神疾患の患者は年々増え、その対策は重要です。また、10代前半からこころの不調や病気で苦しんでいる若者が多くいるため、早期発見・早期支援の取り組みが必要です。一方では、社会的入院の長期化により、人生の大半を病院で過ごすことになり人生が大きく変わってしまった人も多く存在しています。都政においても、これまでさまざまな取り組みはされてきましたが、より一層の施策の必要性から、これまでも当該分野においては、本会議、委員会でもたびたび質問してきましたが、改めて以下の質問をします。

質問1:東京都の精神疾患患者の現状について、どれのくらいの人数がいるか、そのうち、10代、20代の若者の人数はどれくらいか伺います。また、若年層の疾患における精神疾患の割合はどのくらいか伺います。さらには、都として、この数値をどのように受け止め、課題をどう考えているかお尋ねします。

回答1:平成20年の「患者調査」によると、調査日に医療機関を受療した都民のうち、「精神及び行動の障害」の推計患者数は、入院は約22,000人、外来が約25,000人です。そのうち、10歳から29歳までの患者数は、入院が約1,300人、外来が約5,300人であり、この年代の全ての疾患の推計患者数に占める割合は、それぞれ約30パーセント、約8パーセントとなっています。
 入院と外来を合算した「精神及び行動の障害」の推計患者数は、前回の調査時と比べて、増えていますが、これは、精神疾患への認識が高まり、こころの不調を感じた場合に、医療機関を受診しやすくなったあらわれと考えられます。
 国の調査研究によると、10代の若者が精神的不調の際に最初に相談する相手としては、友人や家族が5割から6割程度と多く、一方、子供の不調に気づいた家族は、精神科医療機関よりも内科医などのかかりつけ医に相談する傾向がみられます。このことから、若年層も含め、精神疾患の早期発見・早期対応を一層進めていくためには、かかりつけ医と精神科医の緊密な連携が必要と考えます。
 都は、平成23年度から、診療科間連携を進めるため、順次地域ごとに一般診療科医師を対象とした精神疾患や精神保健医療制度に関する研修事業を行うとともに、精神疾患の初期症状やかかりつけ医から精神科医への紹介の流れなどを示したリーフレットを作成し、医療関係者や都民への普及啓発を図っていくこととしています。

質問2:若者が精神疾患に罹患することでその将来可能性が大きく変わってしまいます。若者本人の知識不足だけではなく、学校の教員、家族など周辺を含めて正しい知識が不足することにより発見が遅れてしまいます。そのため、若者がアクセスしやすい相談窓口の存在は大変重要です。発見が遅れると支援・治療が遅れ、重症化・慢性化してしまいます。逆に早期発見・早期支援を行うことで、未支援・未治療の期間を短縮でき、元の生活に戻ることも可能となります。
若者の精神疾患には、早期発見・早期支援が必要であり、都も内科医への研修を行うなど対応はしていますが、より一層の取り組みが必要であると考えます。
若者が地域で相談する体制として、医療機関によるモデルだけではなく、すぐに医療につながらない、家族支援、相談について医療機関では十分対応できない、などさまざま状況を考えると、地域の支援団体によるメンタルサポート支援の体制を構築することが重要と考えますが、都の所見を伺います。

回答2:精神障害者を支援するため、区市町村では、民間事業者も活用し、地域活動支援センターを中心に相談支援を実施しています。
都では、精神保健福祉センターや保健所において、若年層やその家族を対象に専門職による相談を行うほか、区市町村や民間事業者等と共同して事例検討会を実施するなど、支援に取り組んでいます。

質問3:若者の早期発見・早期支援については、すでに10代前半から発症することもあるため、また、保護者によく知られていない場合も多く、学校現場との連携が大変重要と考えます。福祉保健行政としては、教育機関との連携をどのように考え、取り組んでいくのか伺います。

回答3:精神疾患の早期発見・早期対応を図るため、都では、精神保健福祉センターが、個別ケースに係る学校からの相談に対応しているほか、学校に出向いて事例検討会を開催するなど、医療従事者のみならず、教育など他分野の専門職の理解の促進に努めています。
 また、学校現場における精神疾患の正しい理解と児童・生徒の心の健康づくりを促進するため、平成18年度から福祉保健局と教育庁が共催して教職員を対象にした研修を実施しています。

質問4:精神疾患に対する都と市区町村との連携は必要ですが、それぞれの役割を伺います。都、市区町村と、精神保健福祉センター、保健所、医療機関、福祉団体など関わる機関は多様です。一方、患者を地域で支えることは重要ですが、その地域の範囲は必ずしも市区町村の範囲と同じということではありません。精神疾患の場合、大変重症な患者は市区町村だけでは対応が困難であったり、医療機関や相談機関との相性もあるため自治体の境を越えて対応することが必要な場合もあります。福祉政策は自治の観点から市区町村が基本ではありますが、広域的な支援が必要であり、民間の福祉団体の活動も重要になりますが、都のご所見を伺います。

回答4:区市町村では、地域で生活する精神障害者の自立を支援するため、地域活動支援センターを中心に、保健医療に関する情報の提供や助言、障害福祉サービスの利用支援などを行っています。
 都では、広域的な観点から、精神保健福祉センターや保健所において、地域活動支援センターを担っている民間事業者などに対する技術支援等を行うとともに、医療的配慮が特に必要な精神障害者には、精神保健福祉センターの専門職が訪問し、必要に応じて地域外の専門医療機関の受診に繋げるなどの支援を行っています。

質問5:これまで精神科病院から地域に移行する際の中間施設としての機能を果たしてきた都の精神保健福祉センターの病室やホステルが昨年度末に廃止され、そのノウハウを活かした訪問型支援への転換を図ることになり半年経ちますが影響はなかったのでしょうか。医師、保健師、精神保健福祉士等からなる多職種チームが訪問型の支援として行うアウトリーチ支援について、昨年度はモデル事業を行い、今年度からは本格実施になりましたが、その評価はどうとらえていますか。アウトリーチ支援については、保健所を入口にした患者が多いようですが、もう少し間口を広げる必要はないのでしょうか。職員の体制からするともう少し広範な支援が可能だと思いますが、ご所見を伺います。

回答5:精神保健福祉センターにおいては、精神障害者の地域への移行支援やグループホーム等の地域生活基盤の整備などが進んでいることから、平成22年度末で病室及びホステルを廃止しました。
 平成22年度、23区及び西多摩二次保健医療圏で実施したモデル事業では、未治療・医療中断の状態にあった患者の半数が治療に繋がったほか、家族に対し症状に応じた対応方法の助言を行うなど、心理面の支援により家族の不安が軽減するなどの効果がありました。
 こうした成果を踏まえ、平成23年度からは、各精神保健福祉センターに支援チームを専任で配置し、全都を対象に機動的な支援を実施しています。これまでに23区と多摩地域の全ての保健所から支援依頼を受けるなど、アウトリーチ支援は浸透しており、今後とも着実に実施していきます。

質問6:平成21年3月に策定された「第2期東京都障害福祉計画」では、いわゆる「社会的入院」の状態にある精神障がい者の地域生活への移行について、地域生活移行者数の目標値は平成19年度末推計で686人、平成23年度末目標値が2,500人としています。その中で東京都精神障害者退院促進支援事業の対象は、平成19年度末実績56人、平成23年度末目標値は500人となっています。まもなく目標年度が終わろうとしていますが、実績はどうなっているのでしょうか。現状をどう分析し、今後はどう取り組んでいくのか伺います。

回答6:東京都精神障害者退院促進支援事業では、平成18年度から平成23年9月末までの累計で509名に支援を実施してきており、そのうち289名が既に退院しています。
 これまでの事例を見ると、長期間の入院により、退院後の生活に不安を持つ方が多いことから、本人の自信の回復に向けた取組や、退院後の地域生活を安定して継続するための支援体制の構築などが重要と考えられます。
このため、都は、本事業において、グループホームを活用した体験入居を実施するとともに、都内12か所の地域活動支援センター等に退院促進の支復員を配置し、入院中の精神障害者に対し、退院に向けた働きかけを行っており、今後ともこのような取組により、精神障害者の円滑な地域移行・地域定着に努めていきます。

質問7:自殺対策は大変重要ですが、精神疾患は無関係ではありません。さまざまな状況で死を選ぶと考えられ、特に精神疾患が大きく影響しますが、都としてどう考えるのか伺います。

回答7:自殺は、その背景に様々な要因が複合的に関係していますが、うつ病等の精神疾患はその大きな要因の一つとなっています。
 そのため、都では、ゲートキーパー研修により、地域や職場などで身近な人のうつ症状などのサインに気づき、専門相談機関へつなぐ人材を育成しています。
 また、うつ病の人は、身体的な不調により、最初に内科等を受診することも多いため、内科医等がうつ診療に関する専門的な知見等を得られるよう、うつ診療充実強化研修を行っています。
 さらに、救急医療機関に搬送された自殺未遂者に対してカウンセリングを行う際に使用する教材を作成し、現在、これを活用した精神的ケアをモデル的に実施しています。

ユーティリティ

都議会質問内検索

Search

過去ログ