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都議会質問記録

【18】2011/12/12 築地市場内の道路整備、水防条例の改正について質問

2011年12月12日、東京都議会 環境・建設委員会において、築地市場を通過する道路である都道・環状2号線に関する工事の契約案件、政府の地域主権改革の一貫として行われた水防法改正に伴う水防条例の改正について、建設局に対して議案について質問しました。また、契約案件については都議会民主党を代表して意見表明を行いました。以下に質問と答弁を掲載します。

◆都道・環状2号線に関する工事の契約案件(質問)

〇中村委員 それでは、環状第二号線の契約案件について質問します。
 まず質問に当たり、都議会民主党は、周辺地域の道路事情から、臨海部と都心部を結ぶ幹線道路としての道路ネットワークの整備は大変重要であり、環状第二号線の整備の必要性は十分認めるところであると申し上げます。
 ただ、築地市場の移転問題においては、豊洲の土壌汚染問題が解決していないこと、市場関係者の大方の同意が得られているとはいえない強引な移転は認められないことから、現在地再整備を考えたときに、環二については当初に都が計画をしていた地下化で整備すべきと主張してきました。
 今回、二件の契約案件がありますが、そのうち第百八十二号議案の工事である勝どき地区と晴海地区を結ぶ朝潮運河橋梁については、その下部工事について、平成二十二年第一回定例会の議案として審議をした際、この委員会で私が当時の道家東京都技監に質問し、朝潮橋梁の建設をしても、築地地区における環二の地下化について、技術的、法的、実態的に問題ないことを確認した上で工事を認めました。
 これは、地下化が問題ないから賛成したということではなく、地下化すべきということだったのですが、残念ながら変更がないまま現在に至ってしまいました。
 ただ、そのPCけた製作・架設工事ですが、これを行っても、築地地区における環二の地下化については問題ないことを事前に担当の方からは確認をさせていただきました。
 そこで、問題は、第百八十一号議案である築地地区と勝どき地区を結ぶもう一方の契約案件、隅田川橋梁の綱けた製作・架設工事です。この工事は、まさに築地地区にかかる橋梁であり、この整備を行えば築地地区での環二の地下化が不可能になってしまうことは、残念ながらだれの目から見ても明らかです。
 知事は、都議会の予算の付帯決議を破り、強引に移転を決定しました。そのため、中央区や市場関係者の中には、やむを得ずその状況に対応することを考えるというように、状況が少し変わっていることはありますが、大方の合意が得られたとはいえない現状において、工事を進めることには問題があるといえます。
 実際、十一月に都が着工を開始した桟橋撤去工事の際も、工事着手に反対する場面もあったと報道されました。
 また、市場内では、豊洲への移転をする前には環状第二号線本線の工事に着手できないため、豊洲新市場開場に間に合わせるためとして、通常では行われない手法として都市計画道路の南側に迂回する形での仮設道路整備も行われるとのことです。
 そこでまず、この契約の審査に当たり関連があるために質問しますが、環状第二号線の整備に当たり、なぜ仮設道路整備が必要なのか伺います。

〇吉原道路建設部長 平成二十六年度中の開場を予定しております豊洲新市場にとりましても、環状第二号線は市場関係車両の円滑な交通の確保のために必要なものでございます。一方、豊洲新市場移転前には、営業中である築地市場内で環状第二号線本線の整備に着手することはできません。
 こうしたことから、築地市場の機能に支障のないよう、暫定的に仮設の道路を整備するものでございます。

〇中村委員 暫定的な整備ということで、この仮設道路は、隅田川の橋梁のところから冷蔵庫場所に至る動線が急カーブになっていますけれども、これは大丈夫なのでしょうか、お伺いします。

〇吉原道路建設部長 道路を新設または改築する場合は、道路の構造の一般的技術基準であります道路構造令に基づき設計をしております。
 隅田川橋梁の橋台から、築地川沿いに既に設置されている道路へ接続させる仮設道路につきましても、地域特性、交通状況を踏まえ、整備を行ってまいります。

〇中村委員 仮設工事の工事費用の負担は、一般会計と市場特別会計の両方での負担を検討しているとのことですから、金額が確定していないにせよ、公営企業会計である市場会計への負担ということは市場の利用料金にかかるため、そのことの十分な説明も必要になると思います。
 さて、仮設道路に必要な用地として、現在市場内にある大型の冷蔵庫の移転が必要となります。今回の議案審議に当たり、都議会民主党では、市場関係者の方をお招きしてお話を伺いました。移転をめぐり大変厳しい状況に追い込まれ、本当に苦労されています。その悩みは移転問題だけではなく、この仮設道路整備についても原因となっています。
 仮設道路整備により冷蔵庫の移設が必要となりますが、冷蔵庫の配置がえの場所はどこになるのでしょうか。営業しているので本当に大きな関心事ですが、仮に場所が決まっていないということでしたら、その段階で工事を進めるのはどういうことなのでしょうか。これまでの容量分を補い切れるのでしょうか、また、どうカバーするのでしょうか。議案に対する判断において関係がありますので、お答えをお願いします。

〇吉原道路建設部長 平成二十六年度中の豊洲新市場開場に合わせまして、中央卸売市場とも調整しながら、仮設道路によりまして、臨海部と都心部を結ぶ交通機能を確保いたします。
 また、中央卸売市場によりますと、移設が必要となる冷蔵庫につきましては、現在築地市場においてその利用状況の確認と具体的な移転先等について調整を行っており、今後とも、容量を含め、代替機能を確保し、市場機能に支障のないよう対応していくと聞いております。

〇中村委員 建設局が工事着手に至るまでの市場関係者への説明経緯と、今後の取り組みについて伺います。

〇吉原道路建設部長 築地市場内で工事を行うに当たりましては、極力、市場の機能に支障のないよう工事を進めていく必要がございます。
 このため、築地市場内における環状第二号線の工事及び工事中の業務運営等につきまして協議、調整するため、市場の業界代表者と中央卸売市場で構成されます築地市場環状第二号線工事調整専門委員会が平成二十一年五月に設置されております。
 本委員会におきまして、既設桟橋撤去に伴う代替として新たに設置する桟橋工事の期間及び内容等につきまして本年五月に説明し、既に工事は完了しております。
 また、桟橋設置後の九月及び十月には、現在施工中の既設桟橋撤去工事の内容等につきまして説明するとともに、業界代表者に対しては個別説明も行っております。
 さらに、市場関係者に対しまして、桟橋撤去工事のお知らせを配布するとともに、問い合わせにも迅速に対応するなど十分な周知を図った上、工事に着手しております。
 今後とも、中央卸売市場と連携し、市場関係者の理解と協力を得ながら、平成二十六年度中の豊洲新市場開場に合わせた交通機能の確保を図るとともに、平成二十七年度の環状第二号線全線開通を目指し、全力で整備を進めてまいります。

〇中村委員 この説明の経緯ということは今伺わせていただきましたけれども、仕事に支障を来さないように、売り場に仲卸が買いに行ったり荷物をとりに行ったりする動線の確保というのはできているのでしょうか。荷受けや仲卸とのコンセンサスはとれているのかお伺いしたいと思います。

〇吉原道路建設部長 平成二十六年度中の豊洲新市場開場に合わせ、交通機能を確保するため、中央卸売市場と綿密に調整を図っているところでございます。
 また、中央卸売市場によりますと、市場機能に支障のないよう移転案を調整し、市場業者への説明、運用の調整を十分に行っていくと聞いております。

〇中村委員 さまざまとお答えをいただきました。まだまだいろいろと課題はあると思いますが、後ほどまた、意見については述べさせていただいて、質問を終わりたいと思います。

◆都道・環状2号線に関する工事の契約案件(意見表明)

〇中村委員 第百八十一号議案、環状第二号線隅田川橋りょう(仮設)綱けた製作・架設工事請負契約について、都議会民主党としての意見を申し上げます。
 私たちは、東京の骨格幹線道路ネットワーク形成の上で、環状第二号線の整備が必要と考えています。このため、平成二十二年第一回定例会では、朝潮運河橋梁の工事請負契約案について、朝潮橋梁の建設を進めたとしても、環状第二号線の築地地区を地下方式に変更することは可能なのかどうか質問してきました。当時、東京都技監からは、法的、技術的、実態的に対応は可能であるとの答弁をいただいたことから、朝潮橋梁の建設はその後の築地市場現地再整備案の検討には支障がないと判断し、議案には賛成いたしました。
 しかし、隅田川橋梁にかかわる案件は、築地市場の豊洲移転について市場関係者の大方の合意が得られているとはいいがたい中で、築地地区での環状第二号線の地上化を決定的なものとし、築地市場の敷地を分断することになります。
 また、環状第二号線に関連して、平成二十四年度末に着工予定の仮設道路の整備によって撤去される冷蔵庫の問題で、市場業者の営業に支障が出ることがわかっているのにもかかわらず、いまだその解決策が示されていないなど、本契約案を議案として俎上にのせることは時期尚早であるものと考えます。
 以上のことから、本契約案については異議ありと申し上げます。

◆水防条例改正(質問)

〇中村委員 それでは、東京都水防条例の一部を改正する条例について質問します。
 ことし八月三十日に地域主権改革として水防法が改正され、都道府県の水防計画の公表が、義務から努力義務になりました。法律では、まだ、都が設置する水防協議会の人数の上限まで決めているので、こうしたことこそ地方に任せて削除してもよかったかとは思います。
 ただ、都が定める東京都水防計画について、これまでは法律の規定によって公表していましたが、今後も当然公表する必要があると考えますが、どう対応するのか伺います。

〇飯塚河川部長 今回の条例改正は、地方分権に係る第二次一括法の制定により水防法の一部改正が行われたため、同法を根拠とする東京都水防条例の規定を整備するものでございます。
 東京都水防計画は、水防業務を円滑に実施するために必要な事項を規定するものであり、都、区市町村や都民の果たすべき役割と責任について定めていることから、関係機関への周知とともに、公表は都民に対する重要な責務であると認識しております。
 今般の水防法改正により努力義務にはなりましたが、今後とも、都民情報ルームや建設事務所等での閲覧、東京都ホームページや報道機関を通じて、広く都民に公表してまいります。

〇中村委員 これまでどおり公表するという答弁でしたが、法律改正の趣旨からすると、自治体みずからが判断するという点では、条例に公表を義務化するよう改正すべきではなかったでしょうか。これは議会の役割でもありますので自戒を込めて質問しますが、実態的に公表しているからということではなく、自治体の意思として公表することが必要であり、法律に対応するのは条例です。
 今回、法律で公表が努力義務になったのですが、東京都自身の意思として公表していく方針を示すには、そうした条項を条例に追加することが地域主権なのだと考えます。法改正の趣旨をどうとらえているのか、そして、今後、公表に関する規定を盛り込んだ条例改正を行うことについてのご所見を伺います。

〇飯塚河川部長 地方分権改革により、国の関与が縮小され、自立的な行政運営を進めていくことは望ましいと考えております。
 水防計画の公表につきましては、今回の改正で努力義務となりましたが、都はこれまでも、公表を義務づけられていた計画の要旨にとどまらず、水防計画の全文を自主的に公表してまいりました。
 今後とも、分権改革の趣旨を踏まえ、引き続き公表していくことで説明責任を果たしてまいりたいと考えております。

〇中村委員 引き続き公表していくという東京都の方針について、議会で意思が示されたと受けとめさせていただきますが、条項の追加については今後の課題としていただきたいと思います。
 さて、水防法の改正においては、さきに質問した都の水防計画の公表の努力義務と合わせ、もう一つ、指定水防管理団体がみずから策定した水防計画を都道府県に協議する義務がなくなりました。
 都や近隣の他県における指定水防管理団体の指定状況はどうなっているのか、また指定水防管理団体となった場合、水防体制はどう強化されるのか伺います。

〇飯塚河川部長 都におきましては、水防管理団体とは区市町村のことを指し、そのうち、水防上、公共の安全に重大な関係のある水防管理団体を、指定水防管理団体として知事が指定することができることとなっております。近隣の神奈川県では小田原市を、また埼玉県では、熊谷市など十四の市町、水防事務組合等を、指定水防管理団体として指定しております。
 指定水防管理団体になりますと、水防協議会を設置し、水防計画を定め、水防訓練を行わなければならない等の義務を負いますが、都の区市町村は災害対策基本法に従い地域防災計画の風水害編において水防計画と同等の内容を定めていること、日ごろから訓練を実施するとともに、水防時には迅速かつ的確な水防活動を行っていることなどから、都におきましては指定しておりません。

〇中村委員 都には、指定水防管理団体は現状ないので、すぐに影響はないのでしょうが、法改正で都道府県知事への協議義務がなくなり、条文から削除されることについて、地方分権ではあるので自治体の判断を尊重することにはなりますけれども、一方では、水防そのものは、都との連携や周辺自治体との連携も大変重要です。水防法では、水防の責任は市区町村にあり、都の責務は第三条の六で、「その区域における水防管理団体が行う水防が十分に行われるように確保すべき責任を有する」とあります。市区町村の取り組みを尊重するのが法改正の趣旨ですが、都としては市区町村の水防施策を支援する必要があります。
 今回の東日本大震災を踏まえて、今後、津波などの想定の見直しも行われると思います。都には沿岸部や島しょ部もあり、内陸にまでゼロメートル地帯が広がっています。また、ことしは震災だけではなく、これまでにない大型の台風十二号、十五号が襲来し、担当者の皆様も、その対応には大変苦労されたと思います。
 震災以降、より一層、市区町村との連携や支援に向けた取り組みが必要ですが、ご所見を伺います。

〇飯塚河川部長 洪水や高潮などの水害から都民を守るためには、都と水防管理団体である区市町村との連携が重要であり、東京都水防計画におきまして、都や水防管理団体並びに消防機関等、関係団体の責任と役割を明示しております。
 都におきましては、これに基づき、雨量や河川の水位情報の提供、洪水予報や土砂災害警戒情報の発表、水防資機材の提供など、水防管理団体の活動を支援しております。
 今般の震災を踏まえ、総合防災訓練におきまして、国、区と合同で水門閉鎖訓練や情報伝達訓練を実施するなど、連絡体制の一層の強化に取り組んでおり、引き続き緊密な連携を図りながら水防活動に取り組んでまいります。

〇中村委員 ご答弁ありがとうございます。
 法改正の趣旨は地方分権ですが、東京都のように、地方の道府県に比べれば市区町村の面積が狭く、また都民の市区町村境を越えての人の移動も大きいことから、大都市東京としての水防対策は引き続き重要であることに変わりありません。
 今後も、水防対策についてより一層の施策を行っていただくことを要望して、質問を終わります。

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