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都議会質問記録

【8】2011/06/24 都議会 本会議で一般質問を行いました

2011年6月24日、東京都議会 本会議において都政に関する一般質問を行いました。以下に質問と答弁を掲載します。
  (議場では全質問をまとめて行った後で一括で答弁されましたが、以下は一問一答に並べ替えたものです)

<質問項目>

 1 都政運営の方針について
 (1)都の財政運営について
 (2)都政の課題と「2020年の東京」について

 2 震災対策について

 (1)震災対策の点検と防災力の向上について
 (2)震災に強いまちづくりとコンパクトシティについて
 (3)建築物の耐震化について
 (4)帰宅困難者対策について
 (5)震災時の情報提供のあり方について
 (6)震災による雇用への影響について

 3 省エネに関連する施策について
 (1)計画停電への備えについて
 (2)不測の停電への備えについて
 (3)節電による健康への影響と対策について

 4 高齢化社会への対応について
 (1)認知症への対応について
 (2)高齢化社会における課題について


<質問と答弁>

1 都政運営の方針について

(1)都の財政運営について


○都議会議員 中村ひろし 質問に先立ち、東日本大震災で亡くなられた方々に慎んでお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。

 今回の議会は、震災対策が中心となり、そのための補正予算1,374億円が議論されます。その財源は、基金からの繰り入れが約半分の705億円となっています。今後、震災による厳しい景気状況の下、都税収入も不透明です。11月には「東京都防災対応方針」が示されるとのことですが、建物の耐震化や津波高潮対策等にさらに多くの予算が必要になると思われます。かねてから景気の低迷の影響もあり、長期的に見たときに少子化や高齢化の影響も言われてきた中、今後は震災への対応も加わることでより厳しい財政運営が予想されます。都の財政運営についての考えを伺います。

〇財務局長 安藤立美 今後の財政についてお答えを申し上げます。
 このたびの大震災は、都政を取り巻くあらゆる環境に根本的な変化をもたらすものであり、その対応は、今年度のみならず、来年度以降も含めた息の長い取り組みとなります。したがいまして、財政環境の先行きを見通すことが困難な中にありますが、緊急対策の着実な実施を初め、都民の不安を払拭し、東京に活力を取り戻すという都政の使命を今後とも確実に果たしていくことが重要であります。
 そのためには、これまで一貫して進めてきた堅実な財政運営という原点に立ち返り、これを堅持していかなければならないと認識をしております。
 引き続き、事業評価などの取り組みを着実に進め、基金残高の確保など、財政の対応力にも配慮しながら、都民の負託にしっかりとこたえるべく、全力を尽くしてまいりますが、その際には、この点は昨日も知事が強く申し上げたところでございますが、法人事業税の暫定措置の即時撤廃が必要と考えます。
 その観点で、国の社会保障と税の一体改革について申し述べさせていただきますと、国は六月二十日までに成案を取りまとめるとしていたにもかかわらず、いまだに決められておりません。消費税引き上げの時期などに加え、社会保障の現場を担う地方の独自財源となる地方消費税の拡充についても、明記されるかどうか不明であります。今後、社会保障費がふえるのは地方も同じであり、社会保障制度を安定的に運営するのであれば、消費税だけでなく、地方消費税も拡充すべきことは当然であります。
 あまつさえ議論の前提であるべき法人事業税の暫定措置の撤廃については、議論をした形跡すら見当たらないところであります。かつて、国は、この不合理な措置を税制の抜本改革までの暫定措置と断言していましたが、今後さらに継続されるとすれば、それは明らかな約束違反であります。本気で税制の抜本改革を進めるならば、国はこれまでの経緯もしっかり踏まえ、まずは暫定措置を直ちに撤廃し、消費税はもとより地方消費税も拡充すべきであり、都として引き続き国に対して、あらゆる機会をとらえ、強く働きかけてまいります。

(2)都政の課題と「2020年の東京」について

○都議会議員 中村ひろし 今議会は、都知事選挙後初の議会でもありますので、今後の都政の取り組みについて質問したいと思います。
大震災により生活様式の見直しへの機運も高まり、便利さや効率を優先しすぎた生活への反省の声もあります。働き方を示す言葉としても、ワークライフバランス(仕事と生活との調和)、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)などが言われるようになってきました。これからの都政においては、都民の生活の質の向上ということが今まで以上に求められます。
 経済大国とはいえ、雇用の不安や貧困に陥る恐怖を感じる人が多くいます。震災後、その影響かどうかは明確には分かりませんが自殺者が増えてしまいました。若い世代が希望を持てる社会をつくっていくことが必要です。経済協力開発機構OECDが国民の幸福度について発表していますが、他の先進国に比べて日本は決して高くありません。現在、内閣府が新成長戦略の中で検討しているような幸福度という視点が今後の都政にも必要となります。
 都では、「10年後の東京」計画を改定し2020年までを計画期間とする新たな長期ビジョンである「2020年の東京」を策定すると発表しました。防災対策を政策の大きな柱に据えるとあるのは良いのですが、都がどういう都市であるかだけではなく、都民の生活がどうあるかも大切な視点になります。「10年後の東京」計画の改定にあたり、都政の課題をどう認識し、どのような考え方で策定されるのか、所見を伺います。

〇知事本局長 秋山俊行 「十年後の東京」計画の改定についてでありますが、これまで都は「十年後の東京」計画のもと、環境、安全、福祉、産業などさまざまな分野で先進的な施策を推進してきましたが、計画期間が半ばを迎えたことに加えまして、東日本大震災によりまして新たな課題も明らかになってまいりました。
 こうした状況を踏まえまして、「十年後の東京」計画を改定し、東京を新たな成長軌道に乗せる道筋を示すことといたしました。改定に当たりましては、高度な防災力を備えた安全・安心社会の創造、エネルギー政策を柱に据えた環境と経済が両立した都市の実現などを視点といたしまして、都民生活の質の向上や、都内経済の発展につなげていく考えでございます。

2 震災対策について

(1)震災対策の点検と防災力の向上について


○都議会議員 中村ひろし 震災後、私も被災地を訪れその被害状況の凄まじさに言葉をなくしました。また、東京都が受けた影響も大きく、わずか震度5で交通網や通信網が麻痺してしまいました。都には地域防災計画がありますが、あらためて計画と実際が違ったところ、計画は正しかったがその通り動けなかったところを点検する必要があります。ある想定をするとそこから先の対応がとられなくなってしまいますが、想定にとらわれない対策も必要になります。都庁が機能しなくなった場合の備えや津波高潮が防波堤を越えて0m地帯に襲いかかる場合の備えなど幅広く検討していただきたいと思います。
 都は、都心と多摩とそれぞれが震源の震災の被害状況は想定していますが、どのように対応するかは個別には設定されていません。さまざまなケースがありえますが、区部直下型と多摩直下型の少なくとも2通りの対応や動き方の設定はしておくべきです。政府の地震調査委員会は、東日本大震災の影響に伴い立川断層帯の地震発生率が高まった可能性があると発表しましたが、多摩地域での防災対策も強化する必要があります。
 都は、今回の震災における対応を点検したうえで、地域住民の災害への対応力を高めると同時に、都と区市町村間の連携を強め、防災力の向上を図るべきだと考えますが所見を伺います。

〇総務局長 比留間英人 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、住民の災害対応力向上と区市町村間の連携でございます。
 今回の震災では、発災直後の混乱の中で、住民の自助、共助による取り組みや、自治体間の連携が大きな力を持つことが明らかになりました。住民の防災力や自治体間の連携を強化するためには、日ごろの取り組みの積み重ねに加えて、実践的な防災訓練を実施することが有効でございます。
 このため、本年度は、多数の地域住民の参加を得て、四市と合同で訓練シナリオの一部を秘匿する実践的な訓練や、高潮、津波対策訓練、帰宅困難者訓練などの総合的な防災訓練を実施してまいります。こうした訓練により、住民の災害対応力の向上と、参加自治体間の一層の連携強化を図ってまいります。

(2)震災に強いまちづくりとコンパクトシティについて

○都議会議員 中村ひろし 今回の震災を鑑みると、東京を安全でゆとりのあるまちに変えていくことが重要です。特に今後の人口減少社会に向けて、まちの機能を集約したコンパクトシティにすることは防災や省エネの観点からも良いと思います。駅や公共施設を中心に商業施設などを集約化し、その周辺はゆとりある住環境や自然環境をつくっていく、住宅地域では高齢者でも歩いて買物できる近所の商店街がにぎわい、駅や公共施設にはコミニティバスで簡単に行くことができるようにするのが望ましいと思います。その際、23区だけでなく、多摩地域のまちづくりも重視しながら、東京全体のまちづくりを進めていくべきと考えます。
 そこで、今後のまちづくりにあたっては、ゆとりと緑のある住環境の整備とあわせて、防災対策も同時に講じながら、コンパクトシティの実現を図るべきと考えますが、所見を伺います。

〇東京都技監 河島均 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、コンパクトシティーの実現についてでございます。
 都はこれまでも、東京の都市づくりビジョンにおきまして、コンパクトな市街地への再編を掲げ、駅などを中心に人口や生活機能が集積し、マイカー利用を前提とするのではなく、徒歩や公共交通の利用で暮らせる生活圏の整備に取り組んでまいりました。
 例えば、ひばりヶ丘駅北口では、地元市による都市計画道路の整備にあわせまして、都は街区再編まちづくり制度に基づき、街並み再生方針を定め、容積率等の緩和なども活用して、市が進めるまちづくりを積極的に支援し、駅周辺の機能集積や敷地の共同化による防災性の向上などを図っております。
 引き続き、こうしたまちづくりを通じて、都市機能の集約的な再配置とともに、その周辺におけるゆとりある空間の創出などを図り、だれもが暮らしやすいコンパクトな市街地への再編を進めてまいります。

(3)建築物の耐震化について
 
○都議会議員 中村ひろし 震災が起きた時、どこにいるかで命の分かれ目にならないようにしなければなりません。民間住宅の耐震化は所有者が各市区町村の補助の活用等により取り組んでいますが、自治体による取り組みの差があるため、さらなる促進のために都の支援も求めます。
 しかし、いくら自分の家を耐震化しても、耐震化していない建物に偶然いたときに震災が発生すれば被害に巻き込まれてしまいます。とりわけ、商業施設のように多くの人が集まる建物は、災害時の被害が甚大となることが予想され、その耐震化は重要であり、所有者だけの問題では済まされません。先般、緊急輸送道路沿道の建物の耐震化を促進する条例が制定され、沿道の建築に来年4月以降耐震診断が義務付けられるとともに、耐震診断や改修に対する助成制度も拡充されました。
 震災を経て、民間建築物の耐震化がより一層求められている今、多くの人が集まる商業施設などの耐震化にも、積極的に取り組むべきです。都が平成19年に定めた「東京都耐震改修促進計画」でも、大規模な百貨店、ホテル等不特定多数の都民が利用する建物については、緊急輸送道路沿道の建物と同じく、平成27年度までに耐震化率を100%とすることを目標としています。そこで、不特定多数の都民が利用する大規模な商業施設の耐震化に対する認識と今後の取り組みについて伺います。

〇東京都技監 河島均  次に、大規模な商業施設の耐震化についてでございます。
 建物の所有者は、みずからの生命と財産を守るだけではなく、利用者や周囲へ被害を与えないよう、その耐震性能を主体的に確保していくことが求められております。とりわけ、不特定多数の者が利用する商業施設の所有者は、大きな社会的責務を有しており、積極的に耐震化を進めることが重要でございます。
 このため都は、百貨店やスーパーマーケットなどについて、関係団体を通じて所有者等への普及啓発を行っており、今後とも耐震キャンペーンなどさまざまな機会をとらえ、耐震化への取り組みをより一層強く働きかけてまいります。
 この四月から緊急輸送道路沿道建築物の耐震化推進条例を施行しましたが、大規模な商業施設は、特定緊急輸送道路沿道に立地していることが少なくないことから、耐震診断の義務づけや拡充した助成制度など、条例に基づく施策を着実に実施してまいります。
 また、条例の対象とならない大規模な商業施設についても、区市と連携して、法に基づく指導や指示を行うなど、的確に対応してまいります。
 今後とも、さまざまな施策を総合的に展開することで、大規模な商業施設を初めとした民間建物の耐震化を積極的に推進し、災害に強い東京を実現してまいります。

(4)帰宅困難者対策について

○都議会議員 中村ひろし 今回の震災では帰宅困難者の問題が大きく注目されました。私もJRが早々に動かさないと決めてしまったので震災の日は都議会に泊りました。
都はこれまでも駅を中心にして訓練してきましたが、曜日や時間で状況が変化するため、さまざまな場面を想定しておかなければなりません。都心の区では、住民票上の夜間人口ではなく昼間人口を基準にした防災対策をするよう都からもはたらきかける必要があります。自治体の訓練は休日に地域住民を対象として実施されることが多いのですが、週7日のうち5日は勤務地にいる人が多いという現実に即せば、平日の昼間にも実施し会社や従業員も含めて参加してもらうことが必要です。都は事業者に対して、震災時には従業員に会社にとどまらせて駅に殺到したり帰ったりしないようにすること、そのために食糧の備蓄をすること、避難訓練を行うことを要請する必要があります。いざというときに備えて携帯用の行動マニュアルを作成して配布することも考えられます。また、週末に買い物やレジャーで都心に行く方々は日常とは違う場所にいるため徒歩での帰り方が分からない方も多い中での避難所への誘導訓練も必要になります。
 都では自治体を超えて人が動くため、帰宅困難者の対策を都が計画し、市区町村や事業者に協力を要請することで対策を強化すべきと考えますが所見を伺います。

〇総務局長 比留間英人
 次に、帰宅困難者対策についてでございます。
 今回の震災では、首都圏の鉄道がすべて停止したため、多くの帰宅困難者が発生し、都内は大きく混乱をいたしました。帰宅困難者対策は、一斉帰宅の抑制、帰宅困難者の一時待機施設の確保、速やかな安否確認と情報提供などが重要となります。
 これらを踏まえ、都は、官民で構成する協議の場を設け、それぞれの役割と責任を明確化するとともに、安否確認や備蓄などを含め課題の検討を行い、社会全体で取り組む帰宅困難者対策を策定をしてまいります。

(5)震災時の情報提供のあり方について

○都議会議員 中村ひろし 災害時の情報は、行政機関だけではなく、都民のために必要なものです。災害時でなくても電車の事故の時などには、必要な情報が入手できないことで不安や焦燥に駆られ、鉄道会社の対応に不満を感じる方は多いと思います。まして震災直後のように人々が混乱している時こそ、正確で迅速な情報を提供することが必要です。
災害時の情報提供については、インターネットは有益であり、三鷹市でもツイッターによる情報提供が好評でした。ただ、それだけでは高齢者などのIT弱者の問題もありますので、町会や民生委員に協力をしてもらい情報を届けることも行いました。
 緊急で情報提供することも必要ですが、不安を煽るだけにならないよう適切な内容の情報提供も必要になります。平常時からどういった情報をどう伝えるべきなのか想定しておくことが大切です。都は、災害時において、都民の不安を払拭し、冷静な行動を促す観点から、正確で適切な情報を迅速にさまざま手段を使って伝えることができるよう、災害に関する情報提供を充実すべきと考えますが、所見を伺います。

〇総務局長 比留間英人
 次に、災害に関する情報提供についてでございます。
 発災時において、都民の不安を和らげるためには、必要な情報を迅速に提供することが重要であり、都や通信事業者等の関係機関は、情報通信基盤を強化する必要があります。このため、災害情報ホームページの機能強化などにより、都からの情報発信を強化いたします。また、通信事業者も含めた協議の場を設置し、安否の確認などの対策を検討するとともに、発災時の情報通信基盤の強化について国に働きかけてまいります。

(6)震災による雇用への影響について

○都議会議員 中村ひろし 今回の震災により雇用にどのような影響が出たのでしょうか。事業主も厳しい状況であるとは思いますが、解雇された方はもっと厳しいのです。あってはならないことですが、震災に便乗した必要のない解雇や、非正規職員の雇止め、新卒の内定取り消しなど厳しい状況にあると聞きました。被災者の雇用対策も当然必要ですが、都内で震災により職を失った人の雇用対策も大切です。都内の震災の影響による解雇や雇止めなどの状況はどうなっているのでしょうか、また、解雇などで職を失った方への支援はどうなっているのか伺います。

〇産業労働局長 前田信弘 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、震災の影響による解雇等の状況と職を失った方への支援についてでありますが、都が労働相談情報センターに三月末に設置いたしました震災関連特別労働相談窓口には、これまでに約一千件の相談が寄せられております。相談の項目では、解雇、雇いどめに関する相談が約二割を占め、その中には、問題があると思われるものも含まれております。都としては、法令の遵守や解雇の正当性等について相談、指導を行っております。
 また、職を失った方の就職に向けまして、東京しごとセンターにおいて専門のカウンセラーを配置した新たな窓口を設置し、さまざまな支援を実施することとしております。
 このような取り組みにより、震災の影響による労働問題に適切に対処するとともに、解雇された方々の早期の就職を支援してまいります。


3 省エネに関連する施策について

(1)計画停電への備えについて


○都議会議員 中村ひろし 補正予算で省エネへの対応として太陽光発電、LEDの導入などへの積極的な支援は良いことだと思います。震災後だけではなく、継続的に取り組んで、環境分野の産業として積極的に育成していただきたいと思います。
 さて、今回の震災ではあらためて都市における電力の重要性を認識させられました。この夏の電力不足への対応がまさに急務であり、省エネ施策を何としても推進し乗り切らなければなりません。しかし、万が一に備えて東京電力では、計画停電もありえると発表しています。震災後の計画停電の際の課題を踏まえて備えを万全にする必要があります。情報伝達を十分に行うことが大切です。また、今回は23区が除外され多摩地域だけが計画停電の地域に指定されていますが、停電した地域の方からは等しく我慢するならよいが不公平ではないかとの声も出ています。停電しない地域の方にはその痛みを認識していただいてより一層の節電をお願いしたいと思います。
 最終的には全都的な対応が必要ですが、多摩地域の停電する可能性のある地域において、信号機の電源や医療機関の電源などの対応を急ぐ必要があります。そこで計画停電の備えについて伺います。

〇環境局長 大野輝之 計画停電の備えについてでございますが、国は五月に示した夏季の電力需給対策におきまして、計画停電を原則不実施としましたが、なお緊急時には実施の可能性を残しております。
 そのような事態を回避するため、都は、今般策定した電力対策緊急プログラムに基づきまして、個別の企業や家庭に対して具体的な節電アドバイスを実施するなど、実効性のある電力対策に全力で取り組んでおります。
 あわせて、計画停電を踏まえた事態に備え、信号機や医療機関、ライフライン機能を担う施設等に必要な電源を確保するなどの都内全般にわたる対策を推進しております。

(2)不測の停電への備えについて

○都議会議員 中村ひろし 計画停電とは別に、想定外の停電についても備えておく必要があります。電線の損傷や落雷などを含め、不足の停電が発生すると大きな混乱が発生することが懸念され、都民の生活にも影響が出てしまいます。また、非常時の司令塔となる都庁舎や医療機能を担う都立病院等の施設の停電は、人命に直結することが心配されます。これは自然災害ではありませんが、不測の事態に備えるという点では別の危機管理として考える必要があります。不測の停電に対する都の対応について、所見を伺います。

〇総務局長 比留間英人 最後に、不測の停電への対応についてでございます。
 送電線の断絶や落雷等による停電は、地域は限定的ではありますが、当該地域の住民などの生活に大きな影響を与えます。都は、東京都電力対策緊急プログラムにおいて、都民生活を支える施設の電源確保を進めるため、医療機関や社会福祉施設、ライフライン等で、自家発電機や燃料等の確保を図ることとしております。こうした対策を着実に実施し、停電時の電力を確保するとともに、区市や民間事業者に対して、事業継続計画の策定を支援し、不測の停電に備えてまいります。


(3)節電による健康への影響と対策について

○都議会議員 中村ひろし 省エネは必ずやらなければなりませんが、同時に健康管理も必要です。高齢者の熱中症対策は補正予算に盛り込まれましたが高齢者だけが危険なわけではありません。職場での労働環境を整え勤労者の健康管理については事業主にその責務があると考えます。
都から事業主に対して職場環境への注意を喚起していかなければなりません。水分の補給を十分行なうことやクールビズを行うこと、例年以上に休息をとることも必要となります。窓にフィルターを貼ったりするなどの対策もありえます。都庁も窓が明かないので職員の皆様も十分留意してほしいと思います。
そこで、省エネも大切ですが、精神論だけでは乗り切れない場合もあり、健康に害があってはならないと思いますが、都の対応を伺います。

〇産業労働局長 前田信弘  次に、節電に伴う職場環境への注意喚起についてでありますが、職場における労働者の健康と安全の確保につきましては、労働安全衛生法において事業主の責務とされており、その具体的内容は同法の規則により定められております。夏季の節電対策につきましても、こうした法令を遵守し、各事業主が適切に実施すべきものと考えております。
 都は、これまで労働相談情報センターにおいて、事業者の安全配慮義務に関するセミナーの実施や、労働安全衛生の解説を記載したパンフレットを作成するとともに、インターネットを通じた情報提供を行っております。こうした取り組みを通じて、節電の要請と労働安全衛生の確保が両立できるよう、知識の普及を図ってまいります。

4 高齢化社会への対応について

(1)認知症への対応について


○都議会議員 中村ひろし 高齢化社会に対する施策の充実は多くの都民が求めています。三鷹市でも市民団体が独自に高齢者世帯にアンケート調査を行い行政に提言する等、市民からもこの状況をなんとかしなければという気運があります。とりわけ、認知症に対する不安の声が大きく出ています。
 認知症に対する取り組みとしては、グループホームの緊急整備や認知症サポーターの育成、また、後方支援として認知症疾患医療センターなどさまざまな施策が実施されていますが、在宅で認知症の方を介護する場合、家族の負担がまだまだ大きいと言わざるを得ません。
 家族の負担という意味では、「寝たきり老人」を抱える場合も同様です。「寝たきり老人」という言葉は使われなくなって久しいですが、この問題が解決したわけではありません。介護保険は家族介護者への支援が不足しています。介護が長期間にわたる場合の精神的ストレスは計り知れないものがあり、高齢者虐待に発展しかねません。
増加する認知症患者への対応や、家族介護者を支えるためにも、地域における総合相談機能を担う地域包括支援センターの機能強化が求められますが、所見を伺います。

〇福祉保健局長 杉村栄一 地域包括支援センターの機能強化についてのご質問にお答えいたします。
 地域包括支援センターは、高齢者や家族からの相談に応じますとともに、医療や介護などのサービスが適切に提供されるよう、関係者の連絡調整を行う区市町村が設置をする機関でございます。
 しかしながら、介護予防ケアプランの作成など、一部の業務に多くの時間を割かれ、認知症高齢者の実態把握や要介護者の家族に対する相談支援など、その役割を十分に果たせていないことが課題となっております。
 このため都は、センターが地域の拠点として機能を発揮できるよう、業務の外部委託要件の緩和などを国に提言いたしますとともに、職員の資質向上のため、独自に必要な知識や技術の習得を図る研修を実施をいたしております。


(2)高齢化社会における課題について

○都議会議員 中村ひろし 「認知症」と「寝たきり老人」に言及しましたが、他に高齢者の問題には「孤独死」があります。一人暮らしになる事情はそれぞれあるにせよ、誰にも看取られることなく人生の最後を迎えることはあまりに悲しく、対策が必要です。
 都知事は、選挙公報に「強い東京都つくる、10の約束」をあげられ、その一つが「認知症ゼロ・寝たきりゼロ・孤独死ゼロのトリプル・ゼロ社会を『東京ルール』で実現します。」とありました。これは大変重要な課題であるので是非とも進めていただきたいと思います。
 認知症、寝たきり老人、孤独死など、高齢化社会における課題について、都知事がどのような考えをお持ちか所見を伺います。
 以上で質問を終わります。ご答弁よろしくお願いします。

〇知事 石原慎太郎 中村ひろし議員の一般質問にお答えいたします。
 高齢化社会における課題についてでありますが、老いは時間のもたらす必然の結果でありまして、これを避けることはできません。ならば、老いをいかに充実して過ごし、ある日突然に逝くというのが理想的な老年であるということもいわれております。
 しかしまた、老いは非常に残酷でもありまして、高齢者になって認知症や寝たきり状態になれば、本人ばかりではなく、それを支える家族の負担も決して少なくはありません。また、人と人とのつながりの希薄化がもたらした孤独死の多く、これは大都会によく見られる現象ですけれども、そのほとんどのケースは、身寄りのないひとり暮らしの高齢者でもあります。
 今回の大震災では、住民のきずなに根差した助け合いが混乱の中でも大きな力を発揮することを改めて認識させました。認知症や寝たきりの高齢者、ひとり暮らしの高齢者の日常生活を支えるのも、こうした地域社会に根差す連帯の仕組みであると思います。
 高齢化社会の問題の解決のためにも、近隣同士の支え合いの仕組みなど、かつてあった緻密な地域のきずなを新しい共助として東京に再生させ、大都市にふさわしい連帯をつくり上げていきたいものだと思っております。

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