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都議会質問記録

2020/03/17 耐震改修促進、防災都市づくり、緑地確保を質問

3月17日、都市整備委員会に出席し、都市整備局の来年度予算案、条例案、報告事項について質疑を行いました。耐震改修促進計画、防災都市づくり推進計画、多摩地域の産業振興、都市計画道路、玉川上水、緑地の確保について質問しました。将来の東京のまちづくりを見据えた議論しました。

○中村委員 それでは、都市整備局に質問します。
 先週三月十一日、東日本大震災からちょうど九年目を迎えました。新型コロナウイルスのため、政府主催の式典は残念ながら中止になりましたが、決して風化させてはならないばかりか、三十年以内に首都直下型地震が七〇%の確率で起こるといわれて久しいだけに、今、震災が起こらないとも限らないわけですから、感染症の対応をしつつも、常に震災対策を進めていかなければなりません。複合災害という最悪のケースも考えると、震災に対して想定できる対策は、早急に行う必要があります。
 そこで最初に、今般、一部改定を進めている東京都耐震改修促進計画について伺います。
 緊急輸送道路の沿道の耐震診断が義務化され、耐震改修が努力義務化とされた条例が二〇一一年三月十一日の東日本大震災の発生直前に議会で可決をしました。それを受けて、二〇一二年三月に計画が策定をされました。いつ起こるかわからない震災への備えとして、早急に建築物の耐震化を進める必要があり、とりわけ緊急輸送道路沿道の建築物は早期の耐震化を進める必要があります。条例制定後の計画に定められた目標数値はどうであったのでしょうか。
 その後、二〇一六年三月に計画が改定され、一〇〇%になる目標が二〇二五年度まで大きく後退し、その際には、この委員会でも大きな問題となりました。
 前回の計画改定時に、目標数値はどのように変更したのでしょうか、理由は何だったのでしょうか、改めて伺います。

○青木耐震化推進担当部長 東京都耐震改修促進計画は、平成十九年三月に策定し、平成二十四年三月に改定しておりまして、このときの緊急輸送道路沿道建築物の耐震化率の目標は、平成二十七年度末までに一〇〇%としておりました。
 平成二十七年度末の改定に当たり、耐震化推進条例により耐震診断を義務づけた結果、特定緊急輸送道路沿道建築物の九割以上で耐震診断が実施され、耐震化状況がほぼ把握できたことからシミュレーションを行ったところ、特に倒壊の危険性が高い建築物を解消し、かつ耐震化率を九〇%とすることで、震災時における通行機能を確保できることが明らかとなりました。
 このことを踏まえ、東京二〇二〇大会の開催までの新たな耐震化の目標や、最終的に耐震化率一〇〇%を目指す目標年次を定めたものであります。

○中村委員 最初のときでは、平成二十七年度、二〇一五年度で一〇〇%としていたわけですから、かなりこれがおくれたのかというふうに思っています。
 今回、さらにこの耐震改修促進計画が改定され、特定緊急輸送道路沿道の建築物について変更がされます。区間到達率と総合到達率という新たな概念を用いていますが、細かく区間を区切ることで達成度を大きく見せているともいえます。さらに、一〇〇%は十年も先延ばしとなる二〇三五年度末という、長期戦略の目標年次の二〇三〇年よりももっと先の達成となります。
 民間建築物とはいえ、なぜここまで大きく後退したのか伺います。

○青木耐震化推進担当部長 計画の改定に当たりましては、これまでの耐震化率よりも、実質的な通行機能が確保できているかどうかを的確にあらわすことができる区間到達率などを用いて目標を設定しています。
 令和七年度の目標達成に向けて、特に倒壊の危険性が高いIs値〇・三未満の建築物の解消は地震での倒壊によって道路を閉塞する確率が低減されることから、段階的な改修も促すこととしました。これは、二回目以降の工事を終えて耐震化が完了するまでには、大規模修繕の期間等を考慮しますと時間を要することとなりますが、必要な通行機能を早期に確保する観点から有効でございます。
 こうしたことから、総合到達率で一〇〇%の目標年次については、段階的改修を実施した建築物の耐震化が完了するまでの期間を考慮して設定しました。

○中村委員 区間到達率ということで、迂回をすれば到達できるということでもあるんでしょうけれども、実際その災害が起きたときにそういった迂回のルートを、じゃあどうやってその車両に知らせるのかということもありますし、緊急の輸送道路ですから、なるべく早く行けた方がいいわけですから、もちろん一〇〇%に向けて懸命に取り組まれているとは思いますけれども、より一層、こういった取り組みをしっかりとやっていただきたいと思っています。
 また、冒頭にも述べましたが、震災はいつ来るかわかりません。対象が民間建築物で、都みずからが整備するわけではないにせよ、限られた数であり、条例にも対応が規定され、補助の割合も高く設定されています。ここで目標が達成できないようであれば、他の建築物の目標の達成は進みません。引き続き、一〇〇%に向けての取り組みを進めていただくことを求めます。
 また、特定緊急輸送道路沿道以外の住宅などの目標は、来年度の改定で目標数が見直されることになりますが、そちらも迅速に進めることが必要です。しかし、低所得の方が経済的な理由により耐震化ができない場合もあり、所得の格差が命の格差になりかねません。自治体間の財政の格差もあるので施策や補助にも差がありますし、個人間の所得格差などもあります。
 そうした経済的な格差が命の格差にならないよう、都として、全ての都民が安心して暮らせるよう対応することが重要です。古い住宅や古いアパートなどを借りて住む方々にとっては、所有者が耐震化をしないと、経済的にも転居もできない場合もあります。都として耐震化一〇〇%に向けて取り組むことを求めます。
 次に、防災都市づくり推進計画の基本方針も改定されますので、伺います。
 耐震化の個々の家だけではなく、まち全体で燃えない、倒れない都市を目指して取り組むことは重要で、こちらも時間がかかるので、着実な対応が求められます。これまで都は、整備地域の不燃領域率の七〇%を目指して取り組んできましたが、二〇〇四年、二〇一〇年、二〇一六年の計画では、それぞれの主な目標数値はどのようになっているのか伺います。また、今回の計画では、目標設定はどのように変化をしたのか、あわせて伺います。

○三宮防災都市づくり担当部長 防災都市づくり推進計画におきましては、整備地域の不燃領域率などの目標を定めております。
 これまで、整備地域における不燃領域率の平均値の目標達成時期は、二〇〇四年と二〇一〇年の計画におきましては、二〇二五年度までに七〇%到達とし、二〇一六年の計画では、二〇二〇年度までに七〇%と前倒しし、不燃化の促進に取り組んでまいりました。
 これまでの取り組みにより不燃化が進む中で、各地域の進捗状況に目を向けると、不燃化が進んでいる地域や加速が必要な地域など、地域の状況により差が出てきているのが実情でございます。
 そのため、今回の計画の改定に当たりましては、地域ごとの状況や課題を踏まえ、それぞれの地域で効果を上げていくため、新たな目標設定をすることといたしました。具体的には、二〇二五年度までに整備地域のうち半数の地域で不燃領域率七〇%への到達、二〇三〇年度までに全地域での到達を目指すことといたしました。

○中村委員 こちらも懸命に取り組まれているとは思うんですが、やはり到達年度の目標がおくれてしまうということもありますので、より一層、着実な取り組みを引き続き求めていきたいと思っています。
 また、さきの事務事業質疑のときにも質問したんですが、多摩地域においては、こういった対象には入っていません。整備地域を対応し、そこに含まれない市町村の不燃化については各自治体の取り組みを支援するとのことですが、先ほどもいいましたが、財政的な差もあり、進まないところもあります。
 都として、より積極的に自治体を支援すべきと考えますが、改めて見解を伺います。

○三宮防災都市づくり担当部長 都は、防災都市づくり推進計画におきまして、整備地域について、原則として新たな防火規制区域の指定を行うこととしております。
 また、都内には、整備地域以外にも老朽木造住宅の密集地などがあり、こうした地域についても、地区計画または用途地域による敷地面積の最低限度の設定による敷地の細分化防止や、市街地状況に応じた防火規制等の指定による建築物の不燃化の促進を図ることとしております。
 今後もこのような考えに基づき、区市に対して地区計画策定等を働きかけていくとともに、引き続き、財政支援を行ってまいります。

○中村委員 また、次に、計画の中には、避難場所についても目標が定められています。避難有効面積を一人当たり一平米確保するとのことですが、かなり狭いのではないかともいえます。もっと広くすべきではないでしょうか。
 また、避難距離三キロ以上を解消することを目標としていますが、都市部において三キロは相当な距離ともいえます。達成状況は、どうなっているのか、伺います。

○三宮防災都市づくり担当部長 都は、区部におきまして、東京都震災対策条例に基づき、広域的な避難を確保する見地から、震災時に拡大する火災から都民を安全に保護するための避難場所と、避難場所に安全に避難するために必要な避難道路などを、昭和四十七年からおおむね五年ごとに指定してきております。
 平成三十年六月に行った前回の指定の見直しにおきまして、それぞれの避難場所で避難有効面積の目標を達成するとともに、避難場所全体では、一人当たり三平方メートル以上を確保しております。また、避難距離が三キロメートルを超える避難圏域は、三カ所から二カ所に減少いたしました。
 今後とも、都は、市街地の不燃化を進めることで、避難場所の拡大や新たな避難場所の創出を図り、一人当たり避難有効面積のさらなる増加、避難距離のさらなる短縮に努めてまいります。

○中村委員 いろいろと先ほどは耐震の方と、そしてまた、防災の都市づくりということで、計画の数値目標についての達成状況等を含めて質問させていただきました。いろいろと改定するときに、見直す必要があればもちろん見直さなければならないんでしょうけれども、ただ、余り目標をそんなに変えていいというものでもないと思っていますから、必要な目標というのはしっかり定めて、そこに向けて着実に取り組んでいくということが必要かと思っています。
 また、変わってきた変遷を見ようと思うと、計画が変わっているので、過去のを調べようと思うと、どれが最新の計画かというのがわかりづらくなってしまうので、全部並べておくわけではないにしても、一番新しいところの計画にそういう履歴を並べておけば、もちろんおくれたとかということになるんですけれども、それを見てどういうふうに達成しているかということもわかるわけですから、こういったことの情報の出し方というのも、私はこれは明らかにしていくことだと思っていますので、できれば、もちろん、下方修正してほしいということではないんですけれども、きちんとそれを守っていくという意味でも、こういった数値の示し方というのを改めて考えていただければというふうに思っています。
 さて、また来年度の予算の中に新規事業として、災害に強い首都東京の形成に向けた検討として一千万円計上されていますが、内容を伺います。
 災害に強い東京をつくるということは、都政の最大の課題の一つでありますので、ぜひこういったことを検討していただいた上で、どのように取り組むのか伺います。

○安部市街地整備部長選手村担当部長兼務 来年度予算案に計上しております災害に強い首都東京の形成に向けた検討は、水害対策や地震対策など、ハード、ソフト両面から効率的、効果的に進めるため、国と連携して防災まちづくり施策を検討するものでございます。
 具体的には、本年一月、都が国とともに設置しました災害に強い首都「東京」の形成に向けた連絡会議での検討などに活用する予定でございます。
 今後、連絡会議での議論も踏まえまして検討を深度化し、防災まちづくり施策の具体化を図ってまいります。

○中村委員 次に、多摩振興について伺います。
 多摩地域では、かつて、これは石原都政のころだったと思うんですが、多摩シリコンバレーといった施策を打ち出し、圏央道周辺においては、高度な機能を備えた物流企業などの立地が行われるなど一定の成果が見られたものとは考えています。
 しかし、その一方では、企業の撤退や大学の都心回帰なども見られています。私の地元の三鷹市でも、日本無線といった大企業が地方に移転したほか、他の市でも大企業の移転が数多く見られます。ここ数年記憶するだけでも、東芝の青梅の工場、そしてまた日立の青梅の工場、そして富士通のあきる野の工場など、軒並み世界有数の電機メーカーの企業が移転をしてしまっています。
 こういった状況を食いとめ、多摩地域をさらに発展させていくためには、これまでとは異なる形で多摩の魅力や価値を引き出し、逆に企業などを呼び寄せる施策を行っていくべきと考えます。
 都は、来年度予算の新規事業として、まさにそのような施策を推し進めることとしており、多摩の拠点づくりの取り組みの促進としてモデル事業を行い、イノベーション創出拠点の整備に向けたまちづくりの検討経費を補助するとしています。また先月には、この具体の取り組みの方向性を示すものとして、多摩のイノベーション創出拠点の形成に向けた取組方針を公表しています。
 そこで伺いますが、来年度予算に計上している三千万円についてですが、幾つの自治体をどのように支援するのでしょうか。また、今回の予算を通じて、多摩地域の将来のどのような姿を目指して取り組むのか伺います。

○山崎景観・プロジェクト担当部長 都は、未来の東京戦略ビジョン等を踏まえ、多摩の強みである高い技術力を持つ企業や大学などの集積等を生かして、多様なイノベーション創出拠点の形成を図るため、産業政策とも連携し、各自治体によるまちづくりを促進してまいります。
 来年度から実施するモデル事業では、地元自治体が主体となって、ハード、ソフトの両面からイノベーション創出のまちづくりに取り組む地区を公募により三地区程度選定いたしまして、都が検討経費の補助や検討会議への都職員の参加などの技術的、財政的な支援を行います。
 さらに、都と多摩地域の市町による連絡会議を新たに設置し、情報共有や意見交換等を行いながら、二〇二二年度を目途に、多摩の拠点整備に関する新たな計画を策定し、多摩地域全体でイノベーション創出拠点の形成を推進してまいります。

○中村委員 先ほど、多摩シリコンバレーという話もしていましたけれども、どちらかというと一定の成果があったとはいいながらも、民間企業がそこに集積をしていたのをそう称していたという感もないわけではありませんでした。結局、そういった言葉そのものも、いつの間にか都の資料から全く何の説明もないままなくなってしまうということがありましたが、今度はぜひそういったことがないように、新たな取り組みということで期待をしていきたいと思いますので、多摩地域の振興について取り組みをお願いいたしたいと思います。
 さて、都市計画道路についても伺います。
 来年度、都市計画道路網の検討という調査が予算化をされています。路線そのものの見直しもあるんですが、昨年、国の政令が変わり、自転車通行帯、いわゆる自転車専用レーンが法的に位置づけられました。
 車と自転車と歩行者が共存するためには、新設による都市計画道路の道路幅の見直しも必要となります。戦略ビジョンの中では、二〇一八年で二百三十六キロを、二〇三〇年で四百キロにすると、自転車通行空間ということだそうですが、整備をするということだそうです。
 整備そのものは建設局なんでしょうけれども、整備する際に、計画の幅で検討しても、そのままの幅ではうまくいかないこともあります。計画の段階から自転車専用レーンが必要な幅にしておかなければならないのではないかと考えますが、見解を伺います。

○山下都市基盤部長 委員からお話がありました自転車通行帯につきましては、自転車を安全かつ円滑に通行させるために設けられます帯状の車道の部分でございまして、平成三十一年四月に道路構造令が改正され、幅員一・五メートル以上設けることが位置づけられてございます。
 この改正を踏まえまして、都道における道路構造の技術的基準に関する条例におきましても、令和元年十二月に自転車通行帯を規定してございます。
 こうした背景から、都市計画道路の幅員構成につきましては、地元自治体の自転車に関します計画等を勘案しまして、歩行者や自動車から自転車の通行を分離する必要がある場合には、自転車通行帯の設置にも配慮して検討してまいります。

○中村委員 都市計画道路の幅を変えるのは簡単でないということは承知はしているんですけれども、ただ、基準が変わって、こういったものを設けるというふうになったのであれば、それが設置できるようにしていくことが必要かと思っています。もう幅が決まってしまって、その中でやりくりしなければならないということになれば、結局その幅がとれなくなってしまうわけですから、必要な幅をどのようにとっていくかということを、計画段階からぜひご検討いただきたいというふうに思っております。
 次に、外堀の水質改善検討調査について質問したいと思っています。
 未来の東京戦略ビジョンの中にも定められておりまして、二〇三〇年に向けた外堀の浄化を行っていくとのことです。来年度の予算の中には、この外堀の水質改善検討調査について、新規事業として二億二千万円もの予算が計上されています。外堀がきれいになることはよいことなんですが、まだ調査を始めるだけなんですが、これだけの膨大な予算を計上しています。
 何を検討するのでしょうか、予算の内訳について伺います。

○小野都市づくり政策部長 来年度の予算では、昨年末に公表した未来の東京戦略ビジョンに位置づけました外堀浄化プロジェクトにより、外堀の水質改善を図るために必要な調査などを行います。
 具体的には、外堀の水質などの詳しい調査のための経費を初め、外堀に導水する場合の水源、水量や、その水源から外堀まで導水路を確保する方策を関係局と連携して検討するための経費でございまして、調査検討内容が広範囲かつ多岐にわたることを踏まえまして、必要な経費を計上したものでございます。

○中村委員 この外堀の水質改善を進めるに当たって、また別の事業だとは思うんですけれども、玉川上水の話が出てきます。本来の玉川上水の姿をよみがえらせる可能性も展望するということが書いてあります。
 現在の玉川上水については、羽村から多摩川の水を取水していますが、上水としては小平の監視所までで、そこからは管を通って東村山の浄水場まで行き、水道水になります。玉川上水は、小平から先は全く別のもので、清流復活事業として、昭島にある下水処理場の処理水を流しています。玉川上水の沿川市には、保存を求める多くの市民団体も活動しています。もちろん史跡としての保存ですが、下水処理水ではなく、本当の自然の水が豊富に流れてくれたら喜ぶ方もいると思いますし、本来の玉川上水の姿がよみがえり、保存されることは望むべきことだと思います。
 そして、この外堀の浄化のためには、必要な水をどこから持ってくるかということが課題になりますが、その一つの選択肢として、玉川上水を使うということが検討されているとのことです。とはいえ、そのためには多くの課題もあるかと思いますが、どのような課題があると認識しているのか、お伺いします。

○小野都市づくり政策部長 今後、都は、先ほどご説明させていただきました調査費なども活用し、外堀水質改善に必要な水源、水量などを検討することにしておりますが、その導水路として玉川上水を活用する場合には、下水道として活用されている暗渠区間の改良や外堀までの導水路の確保などが課題であると認識しております。

○中村委員 いろんなまだまだ課題はあるんだと思いますけれども、特に、この多摩の地域で玉川上水の沿川では、本当にその玉川上水を大切にされる方も大勢いらっしゃいますので、本来のその姿が取り戻せるということであれば、これは歓迎をしていきたいというふうには思っています。
 特に、私の地元の三鷹市では、ちょうど玉川上水の上に三鷹の駅が建っているんですけれども、そこから玉川上水をずっと歩いて井の頭公園まで行って、ジブリ美術館まで行けるので、多くの方々が歩いてそこを散策をしていらっしゃいます。史跡としての部分というのは、緑の部分ではなくて、実は素掘りの部分で、そういった構造物なんですけれども、そういったところがいいという方もいれば、その緑の回廊がいいという方もいれば、また途中で、文学でいえば太宰治が入水した場所もあればとか、いろんな意味の文化的な遺構等もあったり、大変地元でも大切にされております。
 そういった点では、ずっと沿川市に市民団体も連携して取り組まれていらっしゃって、これを保存してほしい、大切にしてほしいといっていらっしゃる方がいらっしゃいますので、ぜひとも、こういった清流の復活、そしてまた、本来の玉川上水の姿ということに向けての取り組みをお願いしたいと思っています。
 次に、緑地の確保について伺います。
 さきの委員会でも、今年度の最終補正予算で新たな基金を創出することについて質疑を行いました。都市部において良好な住環境を形成するには、緑地の確保は大変重要な取り組みであり、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。とはいえ、都内に残された貴重な緑地において農地が占める割合は高いため、その保存が課題になっています。
 一九九二年の生産緑地地区の指定にされた多くの生産緑地が三十年を経過したことで、買い取り申し出が可能になり、生産緑地の二〇二二年問題ともいわれています。買い取りの申し出があれば、自治体は原則買い取らなければならないことになっています。
 しかし、相続が発生した際などにも、都内は地価が高いことから実際には買い支えることができず、結局は売却され、膨大な緑地が減少し続けるという厳しい状況にあるのが現状です。
 来年度、都は、生産緑地の保全にどのように取り組んでいくのか伺います。

○小野都市づくり政策部長 都は、昨年度新たに、区市が都市計画公園、緑地区域内の生産緑地を買い取る費用に対して助成を行う生産緑地公園補助制度を設けております。平成三十年度には、二区に対して助成し、今年度は二区四市に対する助成を進めており、着実に助成を活用する自治体数がふえております。
 来年度の予算規模は十億円でございまして、引き続き、区市への制度を周知し、さらに活用を促してまいります。

○中村委員 生産緑地が三十年を経過すると、特定生産緑地として十年ごとに延期ができますが、手続をせずに過ぎると、おくれて手続をするということができず、指定できなくなります。まだ時間はあるとはいうものの、十分な周知と支援を図る必要がありますが、都の取り組みを伺います。

○小野都市づくり政策部長 都市計画決定から三十年が経過する生産緑地につきましては、二〇二二年までに確実に特定生産緑地に指定することが重要でございます。都は、区市や農業委員会等と連携しまして、制度の周知や指定のメリットの説明など、農家の方々への丁寧な情報提供を行っております。また、区市の手続の進捗状況を把握しますとともに、手続に関する課題と対応の共有化を図るよう、情報提供や意見交換の場の設定など、技術的な支援を行っております。
 これによりまして、生産緑地を有する六割以上の区市が所有者の同意取得の手続を開始しているほか、三区市におきましては、既に指定の公示まで進んでおります。
 都は、引き続き、積極的に区市への技術的支援を行い、特定生産緑地の指定を促進してまいります。

○中村委員 緑地の方も、生産緑地の方も、農地の方も全てなかなか行政が買い取るというわけにはいかないでしょうから、できればこういった生産緑地の制度を生かしていただいて、農業を続けていただいて、この都会における緑地を確保していただきたいというふうに思います。
 さて、基金の議論の際に、自然なこういった緑の買い取りについて使ってほしいという話をさせていただきました。再開発によって緑地ができるということも、壁面緑化とか広場とかあるんですが、できればそういったところに使うよりは、自然の買い取りの方に使ってほしいという話もさせていただきました。
 今、農地を初め、都内には多くの貴重な緑地がありますが、細切れで買っても使い方として難しいとは思いますが、そういった自然を買い取らずに宅地化されてしまって、一方では、都市計画の範囲内だからと、既に宅地化しているところを買収して、家を壊して自然を回復させて公園を整備していくということについては、何らか矛盾も感じないわけでもありません。防災上の拠点としてまとまった広さの公園をつくる必要性もありますが、できれば、今ある自然を優先して残していくということを考えていただきたいというふうに思います。
 今後も、この緑地の確保ということは、大変重要な都政の課題でありますので、引き続き取り組んでいただくことを要望して、質問を終わります。

 

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