> 都議会質問 > 都議会総務委員会 > 総務委員会で公文書管理条例について質問

都議会質問記録

2017/06/05 総務委員会で公文書管理条例について質問

 
○中村委員 それでは、東京都公文書の管理に関する条例案について質問いたします。
  今、豊洲市場問題などにより都政改革が求められる中、私は昨年十月の決算特別委員会で公文書管理について質問し、条例制定の必要性を主張しました。
  その後、昨年十二月の当時の都議会民進党の代表質問に対して、知事が初めて早期の条例化を検討すると答弁され、今回の提案につながりました。以前から制定の必要性を求めていた私たちの主張を受けて、早期の制定に取り組まれたことは率直に評価いたします。
  そこで、何点か質問しますが、せっかく条例を制定しても、運用がきちんとされてい ないと意味をなさなくなります。まず冒頭、適切な文書管理を行うことで、第一条の目的に掲げた都民による都政への参加や都政の透明化が推進されるようにしていただくことを求めます。
  さて、最初に文書の廃棄について質問します。
  豊洲市場の問題のように大きな事業の場合には、個々の文書というものをどのように管理し、また、廃棄するのかということは大変重要なことになってきます。一つの事業が終了する間に、当該事業に関連する文書を廃棄することがあってはならないと考えます。
  公文書を廃棄する起算点となる保存年限の起点はいつなのか、保存年限を迎えた場合は自動的に廃棄してしまうことになるのか伺います。
 
○小暮総務部長 都では、文書を作成または取得する際には当該文書の保存期間を設定してございまして、保存期間は、作成または取得した時点の翌会計年度から起算してございます。
  事業等に関係する文書につきましては、事業期間等を考慮して保存期間を設定するとともに、事業が終了するまでは、常時利用する文書としての指定または保存期間の延長の措置を必要に応じてとることにより、当該文書を廃棄することなく保存してございます。
  なお、保存期間が満了した場合におきましても、自動的に当該文書が廃棄されるものではなく、組織として廃棄の意思決定をとった上で廃棄しているといったことでございます。
 
○中村委員 東京都の場合は大きな事業が多いわけですから、その事業を行っている最中に最初の方の資料がなくなってしまうことがないようにということをぜひ徹底していただきたいというふうに思っています。
  さて、今、廃棄の話も伺わせていただきましたが、この公文書、今、事業が全部終了したとして、規則の手続にのっとって廃棄したとしても、例えば、当該の公文書をそもそも廃棄してしまったら、存在していたかどうかというのがわからなくなってしまうというおそれがあるわけです。
  私は、公文書が存在していたということそのものについては、たとえ文書を廃棄しようとも、存在していたことは永久に記録されるべきだと考えますけども、見解を伺います。
 
○小暮総務部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、公文書を廃棄する際には組織としての意思決定をとってございまして、この意思決定に係る起案文書を見れば、どのような公文書が存在し、廃棄したか、確認することができます。
  ご指摘の廃棄に関する起案文書は、現時点では永久保存という考え方はとってございませんが、総務局としては、五年保存とする基本的考え方を各局にお示ししているところでございます。
 
○中村委員 五年保存ということではあったのですけれども、例えば文書を保存しようと思えば、もちろん場所の都合等もありますので、どこかで廃棄ということになるのでしょうけれども、あったかなかったかさえ、存在していたかどうかさえわからなくなってしまうと、困ることも出てくるんだろうと思っています。
  例えば過去にさかのぼって資料を調べようと思っても、自分でも探し事をするときに、絶対あると思えばどこまでも探すのですが、そもそも、あるかないかさえわからなかったら、探していいのかもわかりませんし、そもそも、それが後になって、本当はあるべきものだったのになかったとか、責任をどうするのかとか、存在そのものを残すことは大切だと思っていますから、せ めてどういう文書があったかだけは、五年保存といわずに、こういうことについての記録は永久に残していただいてはいかがかということは申し述べさせていただきます。
  さて、今回の条例制定及び規則改正によって、文書の廃棄手続を所管局の中でダブルチェックすることになったことは一定の進歩だと思っています。
  ただ、場合によっては、所管局の中だけで完結させるのではなくて、局外においてもチェックをすべきではないかと考えますが、ご所見を伺います。
 
○小暮総務部長 今回の条例制定によりまして、廃棄手続の厳格化を含めた新たな文書管理の規範を整えるとともに、公文書の管理状況を点検し、公表する仕組みも導入することとなります。
  まずは、総務局が中心となりまして新制度の定着を図りながら、適宜必要な見直しを行うなど、引き続き適正な文書管理に向けて取り組んでまいります。
 
○中村委員 新たな仕組みが導入されるということは、先ほども述べましたが、進展だと思ってはおりますけれども、これは本当にあってはならないことなのですが、局の中でダブルチェックということだと、例えば、もし万が一、局ぐるみでこれを隠蔽しようということが起きたときにどう防ぐのかということが起きますし、逆に、外がチェックできるということが、そういう局ぐるみで隠蔽していないということを証明することもできると思いますから、そういった点では、まだこの制度が始まったばかりなんですけれども、今後、さらに制度の見直し等をしていただく中で、本当にこういったことが適正にされるようにということを仕組みとして整えていただければと思っています。
  さて、こ の条例の文章の中を見ると、公文書ということの定義を、実施機関の職員が職務上作成し、または取得した文書等であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして当該実施機関が保有しているものをいうとしていますが、組織的に用いるものとはどのような文書を指すのか。個人のメモのようなものは組織的に用いるものに含むのか伺います。
 
○小暮総務部長 組織的に用いるとは、当該公文書が、その作成または取得に関与した職員個人段階のものではなくて、組織としての共用文書としての実質を備えた状態、すなわち、当該実施機関の組織において業務上必要なものとして利用、保存されている状態のものを意味してございます。
  したがいまして、個人限りのメモであるような備忘録のような文書につきましては、公文書には該当しないということになります。
 
○中村委員 もちろん、お仕事上、ちょっとしたメモをとることもあるでしょうから、全部を残すのは大変だと思ってはいるのですけれども、逆に、こういった制度の中で、あえて本当にメモのようなもので、例えば誰が書いたかわからない、詠み人知らずのような文書をつくって持っておくとか、そういったことというのは往々にしてないとはいえないところもありますから、そういったところは--もちろん、本当に個人のメモであればいいのですが、それが職場の中で共有されたりしたときには、誰かがチェックして、これは残すべきではないかとか、そういうことの判断をしっかりしていただく中で、基本的には、先ほどの第一条にあったような趣旨の中で、都民のための書類の保管ということです から、その趣旨が徹底されるようにしていただければというふうに思っています。
  また、条例の文章の中では実施機関の責務としか規定されていないのですが、知事などの実施機関のみならず、一人一人の職員などへの義務づけということも必要になるのではないかと考えますが、ご見解を伺います。
 
○小暮総務部長 この条例では、第三条及び第四条におきまして、知事等の実施機関に対する責務を規定してございます。
  実施機関がそれらの責務を果たすためには、職員一人一人がこの条例に基づき行動することが求められているところでございます。そのため、実質的には職員も同様の責務を有するものでございます。
 
○中村委員 先ほどの要求資料の中にも、パブリックコメントでも、このことについてはご意見を出す都民の方もいらっしゃったようなんですけれども、もちろん、これは実施機関ということで、例えば知事がトップで、その中の、職責上、当然、補佐する職員の方々にも同様の責務はあると思うんですけれども、例えば悪意を持って廃棄をしたりとか、なくしてしまうという人がいたときに、あくまで中だけの処分ということになってしまうのですが、条例上も、こういったことをしてはならないという位置づけもあっていいのではないかと思って質問したわけですけれども、基本的には、そういった悪意を持って廃棄するようなことがないように、条例の趣旨をしっかりと職員の方々が生かしていけるよ うに、研修等、徹底等をしていただきたいと思っています。
  さて、次に、秘密文書についても規定がありましたので、伺いたいと思います。
  秘密文書は、秘密の取り扱いをする必要がなくなった段階で公開すべきものだと思っています。情報公開の観点から、秘密文書の指定は極力限定すべきであり、そのような趣旨は、規則だけではなくて条例に書き込むべきではないかと考えますが、見解を伺います。
 
○小暮総務部長 住所に関する情報等の特定の個人を識別することができる情報が記載された文書などは秘密文書として指定し、当該文書の記録内容が外部に漏れることのないよう、細心の注意を払って管理してございます。
  また、秘密の取り扱いをする時期を限る時限秘の秘密文書につきましては、秘密の取り扱いを必要としなくなった時点で指定を解除しているところでございます。
  なお、条例には規定していないものの、秘密の指定ができる文書は、東京都文書管理規則等に基づき限定されておりまして、安易な秘密文書の指定はできない制度として運用してございます。
 
○中村委員 基本的には、文書は公開するのが原則だと思うので、その原則に該当しないものであれば、条例に定めた方がよかったのかなと思ったので、先ほども述べさせていただきました。
  もちろん、個人の情報のこともありますから、こういったものを秘密にするという部分はあるのですけども、そうではない政策の意思決定過程によるもので、あくまで今だから公開できないものだけは例外なんだということであれば、これはしっかりとした取り扱いをするのはやむを得ないと思っていますが、先々になって、何が秘密なのかもわからなくて、それが本当にどこかの時点で解除されているかどうかということもわからなければ、外からうかがい知ることができなくなってしまいますから、秘密 文書ということについては本当に厳格な取り扱いをしていただいて、秘密の取り扱いが必要なくなれば、直ちに解除していただいて公開することが必要だというふうに思っています。
  以上、いろいろと質問もさせていただきましたが、大変重要な都政改革の一つの条例だと思っていますので、この趣旨が生かされて、徹底していくことによって、さらに都民のために資するような公文書管理になることを求めまして、質問は終わります。

ユーティリティ

都議会質問内検索

Search

過去ログ